金属のサビいろいろ
日常の暮らしのなかで
最も身近な錆といえば
鉄に発生する赤色のものですが、
白や黒、緑青など様々な種類があります。
赤サビ
ご存知、鉄にできる褐色の錆は、
赤サビと呼ばれています。
赤サビは、鉄の表面が水や空気などに触れることで
自然に酸化が起きて発生するものです。
むき出しの鉄だけにできるのではなく、
コーティングされている鉄のフェンスなどにも発生し、
腐食が進むと鉄をボロボロに朽ちさせるまでになります。
黒サビ
黒サビは赤サビと違って
一般的な鉄に自然に発生することはなく、
鉄を高温に熱するなどして
表面に人工的に作られる酸化膜です。
代表的なのは、
南部鉄器や中華鍋に施されたものです。
これは表面に黒サビを作っておくことで、
赤サビが発生するのを防ぐ目的があります。
青サビ
銅や銅合金に発生する青緑色の錆のことです。
この錆は、一般的に「緑青」と呼ばれることが多いです。
長く放置されていた十円玉などに発生するものはおなじみ。
大きいものでは銅板で葺いたお寺の屋根や
鎌倉の大仏さまなどの渋い緑色も、
この青錆ができたものです。
青サビには、
それ以上銅を腐食させないようにする
保護膜の役割もあります。
以前は「緑青は有毒」である
という説がまことしやかに流れていましたが、
現在ではそれは間違いであることがわかっています。
もしご家庭で使っている銅鍋が
青緑色に錆びたとしても処分などしないで、
きれいに錆を落とせば安全に使い続けることができます。
白サビ
亜鉛の表面は
空気中で簡単に酸化を受けるため灰色をしていて、
腐食によって白色の粉末が生じます。
これを一般的には白サビと呼び、
鉄自体が錆びて出来る赤サビとは違い
白サビは亜鉛が酸化して出た錆なのです。
腐食から金属を守るために作用するため、
良性の錆ともいえます。
黄サビ
鉄鋼材料に見られることがある錆ですが、
実務上は、塗装や塗膜処理にかかわる
鉄鋼製品に見られることが多いです。
茶サビ
鉄や鋼の錆は時に茶色の様相を呈しています。
これを総称して茶サビと呼ぶこともありますが、
これには二種類のタイプがあります。
赤サビのように、鉄を侵食し続けて
最後には材料そのものを破壊して
風化させてしまうような錆と、
黒サビのように材料表面に発生して
保護皮膜として作用するものとがあります。
金属が錆びる条件は、
常に濡れているところや
ジメジメとして湿度の高いところに
放置しておくことです。
金属は本来、錆びやすい性質を持っているもの。
大切な金属製品は、できるだけ濡らさず、
濡れたら早めにふき取って錆を予防しましょう。
初期の錆でしたら簡単に落とすことができるので、
軽症だからと放置しないで早めに対処したいですね。